肝臓病は大きく分けて、急性と慢性の肝疾患に分けられます。急性肝疾患には急性ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害などがあります。慢性肝疾患はB型およびC型慢性肝炎、肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎などがあります。わが国での肝臓病の80%は肝炎ウイルスが原因です。
   
   
肝臓の病気に特有の症状はなく、たとえ肝臓が悪くても症状を出さないので「沈黙の臓器」と呼ばれています。しかし、肝臓病でもっとも多い症状は、疲れやすい(易疲労感)、だるい(倦怠感)といった症状です。これらの症状は肝臓病に特有のものでなく、他の病気でも認められます。とはいえ急性肝炎や慢性肝炎の悪化(急性増悪)するときや進行した肝硬変では身体のだるさ、食欲不振、吐き気、発熱などの症状があらわれることがあります。また、原発性胆汁性肝硬変では、かゆみ、黄疸や光線過敏による発疹を認めることがあります。しかし、いずれの症状も肝臓病に特有のものではありません。
   
   
最近、わが国でも生活習慣病の占める割合が高くなり、なかでも飲酒は生活習慣と深くかかわっています。大量の飲酒(日本酒1日3合以上)を長期間つづけていると肝臓障害があらわれ、肝硬変になります。とくに女性では比較的少ない飲酒量で肝障害を起こすので注意が必要です。お酒の中でも赤ワインなら健康に良いという人がいますが、赤ワインも量が過ぎると肝臓を悪くするのです。飲酒するなら適量を心がけるべきでしょう。検査所見ではGOT、GPT、γ-GTP、トリグリセライドなどが上昇します。とくにγ-GTPの高値は飲酒の特徴といえます。
   
   
昔から酒は百薬の長ともいわれ、適量の飲酒はストレス解消にも役立ちます。しかし、長年大量の飲酒をつづけていると肝臓を悪くなります。つまり飲酒する量が肝臓を悪くする要因なのです。しかし、女性では飲酒量が少なくても肝臓が悪くなるので注意が必要です。一般に日本酒に換算して1日3合(540ml)以上を5年以上飲酒している人を常習飲酒家と呼びます。常習飲酒家は必ずといっていいぐらいに肝臓が悪くなっています。飲酒による肝障害には脂肪肝、肝線維症、アルコール性肝炎、肝硬変などその程度もさまざまです。また、B型肝炎やC型肝炎にかかっている人が大量の飲酒をしていると肝硬変になりやすく、肝がんの発生する頻度も高くなります。アルコール性肝障害の人の多くは、常習の大酒家でアルコール依存症になっている人です。自分がアルコール依存症になっているかいないのかを知る方法には、いくつかのやり方があります。その一つを紹介しましょう。
1. 飲酒量を減らさなければと感じたことがあるか
2. 他人があなたの飲酒を非難するので、気に障ったことがあるか
3. 自分の飲酒について悪いとか、申し訳ないと感じたことがあるか
4. 神経を落ち着かせたり二日酔いを治すために“迎え酒”をしたことがあるか
この中の2項目以上に該当していれば、あなたはアルコール依存症になっている可能性があります。精神科の専門医の診断が必要です。